社労士のAI活用術①|Gensparkで助成金資料作成を57%時短した実践レポート

社労士のAI活用術①|Gensparkで助成金資料作成を57%時短した実践レポート
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「また助成金の申請書類が足りないって言われた…」「いつまでに何の書類が必要か、説明したはずなのに…」

こうした現場の困りごと、実は多くの社労士が経験していることではないでしょうか。私自身も、制度が複雑な上に専門用語も多いため、クライアントに十分伝わりきらず、申請のタイミングで「これも必要だったの?」「そんな条件があると思わなかった」といった混乱が毎年のように発生してきました。

そこで、クライアントと「内容理解」と「申請スケジュール」を事前に明確に共有したい!という思いから、AIエージェント「Genspark」を活用した助成金説明資料の作成に挑戦しました。

今回は、令和7年度版キャリアアップ助成金の説明資料をGensparkで作成した実践レポートをお届けします。中小企業の経営者や若手社労士の方々、そして社労士試験受験生にとって、業務効率化のヒントになれば幸いです。ぜひ最後までお読みください!

1. 社労士業務でAI活用が注目される理由

社労士業務において、クライアントへの「情報発信」は年々重要性を増しています。特に助成金のような制度は、申請期限や要件が複雑であるため、タイムリーかつわかりやすく情報提供することが求められています。

労働法や社会保険関連の法律は法改正の頻度が多く、こうした情報を専門家の視点から噛み砕いて説明するには、多くの時間と労力が必要です。

このような課題を解決するツールとして、「多角的なリサーチ、深い分析、表現方法の最適化を、一気通貫で実現できる」Gensparkを深堀りしてみました。

2. Gensparkとは?社労士業務での活用メリットはこの3つ

Gensparkは、AIを活用した資料作成支援ツールで、以下の3つの機能が特徴的です。

  1. AI検索機能: テーマに関連する最新情報やデータを自動で収集

  2. エージェント連携: 専門分野ごとのAIエージェントが、集めた情報を分かりやすく分析・整理し、必要な情報だけを抽出。

  3. スライド自動生成: 分析した内容をもとに、AIがそのまま分かりやすいスライド資料を自動生成。

社労士業務での具体的なメリットとしては、以下の3つです。

  1. 時間効率の向上: 従来7時間かかっていた資料作成が約3時間に短縮

  2. 専門性の維持: 法令や専門知識を正確に反映した資料作成が可能

  3. カスタマイズの容易さ: 企業規模や業種に応じた情報のパーソナライズが簡単

ちょび

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自分の求めてる資料に近づけるには、適正なプロンプトが重要なポイントになります!このあと第4章では実際に使用したプロンプトの例をご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

3.キャリアアップ助成金資料作成での実際の効果

キャリアアップ助成金のパンフレットは75ページにも及ぶ複雑な資料です 。

(出典元:厚生労働省 キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)

キャリアアップ助成金のコースは全部で6種類。そのうち5コースを網羅する膨大な情報から、クライアント企業に必要な内容を抽出し、 分かりやすい説明資料を作成する作業は、相当な時間と労力を要します。

そこで今回、GensparkのAIスライド機能を実際の業務で活用してみました。 以下は、実際の作業時間を詳細に記録した比較結果です。

作業工程従来の手作業Genspark活用後短縮効果
支給要領の詳細読み込み2時間30分AI支援による要点抽出:10分2時間20分短縮
要点整理・内容確認1時間30分内容確認と専門的チェック:1時間30分短縮
資料作成・調整2時間AI生成資料の調整・カスタマイズ:1時間15分45分短縮
最終チェック・品質管理1時間最終確認と品質管理:35分25分短縮
合計作業時間7時間3時間4時間短縮(57%削減)

Gensparkの最大の強みは、情報収集からスライド作成までのワンストップ対応と、ストーリー性があるスライドを自動で組み立てる能力です。社労士業務のような専門分野では、単なる文章生成にとどまらない情報整理力が重要になります。その生成結果はがどのようなものだったのか、実際にGensparkを使って作成した記事の一例を、次の実践レポートでご紹介します。

4. 実践レポート|Gensparkで「キャリアアップ助成金」記事を作成してみた

4‐1 使用したキーワード・プロンプト例

実際に使用したプロンプトの例

【対象読者】
中小企業の人事担当者、総務、人材育成に関わる経営者

【目的】
令和7年度キャリアアップ助成金の制度概要、対象要件、申請手続き、よくある注意点などを、はじめての人でも理解しやすいようにスライド形式で構成する。実務に役立つ要点整理、チェックリストも含めたい。

【含めたいキーワード】
キャリアアップ助成金、正社員転換、助成対象、支給申請、申請の流れ、必要書類、中小企業、要件チェック

【構成イメージ】6枚程度のスライドで作成
– キャリアアップ助成金とは?
– 対象となる企業・従業員
– 支給申請までの流れ(ステップ解説)
– よくある質問・注意点
– 成功のためのポイント
– 申請前チェックリスト

【トーン・表現】
専門的すぎず、図解や見出しで「パッと理解」できる構成。信頼感と実用性を両立させる。

【特記事項】
・厚労省の公式情報に準拠する内容にしてほしい
・用語は専門用語すぎず、社内説明資料としても使えるレベルに抑える
・情報の出典や引用元がある場合は記載を

ちょび

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誰に向けて・何枚くらい・どんな雰囲気で作るか(例:中小企業の人事向け、6枚前後、やさしく実務的に)を明確に伝えると、Gensparkがニーズにぴったりのスライドを自動作成してくれます。

4‐2 実際の作成プロセスと出力結果

ホームの「スーパーエージェント」にプロンプトを打ち込んでみます。

プロンプトを入力後に↵ボタンを押すと、スライド作成が開始!テーマに関連する最新情報やデータを自動で収集しているのが分かります。

画面右側に「考え中」と表示されているのは、Gensparkが最適なコードを生成するために処理をしている状態です。数秒待つと自動で、完成イメージやHTML/CSSが表示されます。

スライド6枚の場合で所要時間は10分程度!Gensparkでのスライド作成は、バックグラウンド処理なので、安心して他の作業を進めることも可能で、作成完了時に通知が届きます

生成されたスライドは以下のような構成になりました。

  • スライド1: タイトル「令和7年キャリアアップ助成金 完全ガイド」
     キャリアアップ助成金の概要と目的
  • スライド2: 対象となる企業・従業員の条件
  • スライド3: 支給申請までの流れ(ステップ解説)
  • スライド4: よくある質問
  • スライド5: 成功のためのポイント
  • スライド6: 申請前チェックリスト

特筆すべきは、専門用語の言い換えの適切さです。例えば「正社員化した日の翌日から起算して6か月経過した日の翌日から起算して2か月以内」「6か月賃金支給終了日の翌日から2か月以内に申請」と言い換えるなど、初見の経営者にもわかりやすい表現になっていました。

5. 活用して分かったメリット・課題と解決アプローチ

5‐1 Genspark活用のよかった点

  • 時間効率: 従来の資料作成時間を約57%削減(7時間→3時間)

  • 更新の容易さ: 法改正時の資料更新が容易で、常に最新情報を提供可能

  • 一貫性の確保: 担当者によるバラつきがなく、品質の一定した資料作成が可能

ちょび

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プロンプトを的確に行えば、用語は専門用語すぎず、クライアント説明資料としても使えるレベルに抑えることも可能で、順序立てたスライドが自動的にできることも大きなメリットです。

5‐2 惜しかった点と、その解決ノウハウ

いくつかの課題も見つかりましたが、対策も見出せました。

  1. 最新情報の反映遅れ
    • 問題点: 最新の法改正情報が即時に反映されないケースがあった
    • 解決策: プロンプトに「令和7年度最新情報を使用」と明記し、出力後に公式情報と照合
  2. 支給要件の詳細化
    • 問題点: 支給要件の細かい注釈までは反映されない
    • 解決策: 公式情報と照合し必要な補足情報を追加する
  3. 自動生成による軽微な調整事項

1枚目のスライドで文字の重なりが発生しており、実際の使用前にレイアウトの微調整が必要です。

よくある調整ポイント

  • 行間・余白の最適化
  • 文字サイズの調整
  • テキストボックスの位置変更

5‐3 社労士実務での応用アイデアや注意点

Gensparkの活用は助成金資料だけにとどまりません。以下のような資料作成も得意だと思います。

  • 就業規則説明資料: 改定内容の説明スライドを従業員向けに作成
  • 法改正内容の説明資料: クライアント向けの法改正内容の解説・対策説明資料
  • 労働保険算定基礎届の手順書: 社内用の記入例付きの提出マニュアル

ただし、重要な注意点として最後は専門家のチェックがマスト!

  • 生成された内容は必ず専門家の視点でチェックが必要
  • 数値や期限に関する情報は特に念入りに確認
  • AIハルシネーション(事実と異なる情報の生成)に注意し、常に公式情報と照合する習慣を

ちょび

ちょび

AIスライド機能に、ファクトチェックコンテンツがありますが、チェック結果の中にも誤った情報で訂正箇所を指摘する内容も含まれていました。スライドのストーリー性やデザイン性のクオリティは高いですが、数字や細かい要件はやはり専門家が確認する必要があります。

次回予告:Gensparkの実際の操作方法を詳しく解説します!

今回の実践を通じて、Gensparkは社労士業務の効率化に大きな可能性を秘めていることが分かりました。特に57%の時短効果は、忙しい現場において非常に価値のある結果だったと思います。

ただし、AIが生成した資料をそのまま使うのではなく、専門家の視点でのチェックと微調整が重要であることも明らかになりました。

「実際にGensparkを使ってみたいけど、具体的な操作方法が分からない…」 「AIで作った資料の修正方法や、クライアントへの配布方法を知りたい」

そんな声にお応えして、後編では実際の操作画面を使いながら、スライドの編集方法からPDF出力まで、実務で使える具体的な手順を詳しく解説します。また、厚労省の公式リーフレットとGensparkで作成した資料の詳細比較もご紹介予定です。

▶︎ 続きは「社労士のAI活用術②|Gensparkスライド完全攻略!編集から出力まで実践ガイド」で詳しく解説しています!

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